星旦二,長谷川明弘 藤原佳典,湯浅資之,中山直子,棲井尚子,高橋俊彦
都市在宅高齢者における楽しみと生きがいの実態とその三年後の累積生存率との関連
2014,生きがい研究 20巻, p25-36
2014年3月26日
▶背景:都市在宅高齢者の楽しみと生きがいと生存との関連を明確にした先行研究は報告されていない。
▶目的:都市在宅高齢者の楽しみと生きがいの実態別にその3年後の生存との関連を明確にすることである。
▶方法:調査対象者は都市部A市65歳以上の在宅高齢者とした。分析対象者は,楽しみ・生きがいとして,仕事,趣味活動を含む13項目とともに,疾病治療歴,社会経済的要因,生活習慣と IADLについて,選択肢付き自記式質問紙調査に回答した13,407人(回収率64.3%)であった。分析対象者を3年後まで追跡し累積生存率を分析した。
▶結果:楽しみ・生きがいとして最も多く選択されたものは,趣味活動(男性57.5%,女性54.0%)であり,次いで旅行,運動の順であった。男性より女性で年齢が若い群の生存が維持されていた。主観的健康感が高いこと,買い物に行けること,知的能動得点が高いことが,楽しみと生きがい要因では,身体を動かすことと仕事を選択した人の生存が統計学的に有意に維持されていた。楽しみと生きがい要因であるサークル活動と緑に関する生きがい得点は,生存維持にとって弱い有意な要因であった。
▶課題:都市高齢者にとって,楽しみと生きがいが生存維持とも関連することに注日すべきである。また,研究成果の外的妥当性を高めるために,多くの地域で無作為調査により調査すべきである。
▶キーワード:生きがい(IKIGAI)、生存(survival)