長谷川明弘
臨床心理学を学ぶ「その2」:精神医学などの基礎知識-症状に注目して-,
2017, 東洋英和女学院大学心理相談室紀要20巻, p61-70.
2017年3月31日
▶本論は、臨床心理学の立場から、精神医学を取り上げた。 前半では、精神医学が、臨床心理学と街接な関係にあった経緯について簡単に概説した 後半で、精神医学の中でも特に精神症状について解説した。その意図は、心理専門職が単に疾病名あるいは障害名でカテゴリーに区分してしまう(診断や分類)だけに陥る危険性を危具したからである。またこの行為だけになると医療現場で中核になっている医師の役割・機能の真似事に過ぎず、「クライエントといった当事者の立場で理解しようとする」心理専門職の特性を考慮して欲しいからである。 心理専門職は、臨床心理面接のトップダウン方略とボトムアップ方略を駆使して、情報を得た事柄について、クライエントが「何とかとかしよう」と努力した結果の行為であるという視点を持って欲しい。これは、単純ではあるが簡単ではない。
▶キーワード:操作的な診断基準:ICD (国際疾病分類)によるカテゴリ一分類、DSM (精神疾患の診断・統計マニュアル)による診断、症状と疾患、精神症状:意識(consciousness)、感情(emotion / feeling)、知覚(perception)、認知(cognition)、精神薬理学(psychopharmacology)、脳科学(neuroscience)