谷口力夫,藤原佳典,渡部月子,長谷川明弘,高林幸司,星旦二
高齢者入院医療費の市区町村格差に関する研究-我が国における先行研究の文献的総括-,
2001,総合都市研究第74号, pp65-76.
2001年3月30日
▶概要:本研究の目的は、我が国における市区町村別にみた高齢者の入院医療費格差についての先行研究報告に関してその実態と地域格差規定要因に注目して総合的に検討することである。
まず入院医療費の構成要素である入院受診率、高齢入院者入院レセプト1件当たり入院日数、及び高齢入院者1人1日当たりの入院医療費(以下、入院医療費の三要素という)をそれぞれ目的変数とした研究について総括した。その結果、入院受診率及び入院1件当たり入院日数に共通して正の相関を示し、逆に1人1日当たりの入院医療費と負の相関を示した主な変数は「高齢化」「都市化」を示唆する指標であった。一方、一般健康診査受診率の向上などの「老人保健事業の推進」に関連する指標の医療費の抑制における影響は未だ必ずしも統一的な見解は得られていないと考えられた。