郭怡,内山尚志,長谷川明弘,史学敏,中川弥栄子,田中政春,福本一郎, 2000
晴明穴への電気刺激療法を用いた老人性痴呆リハビリの試み,
電子情報通信学会技術研究報告,Vol.100,No.330,pp.23-29.
▶概要:認知症の脳には脳容積の萎縮、神経細胞の脱落、脳血流量の低下などの変化が観察されている。そこで、我々はこれらの病理変化から考え、電気刺激が神経活動を誘発できる事実に基づき、末梢神経に電気刺激を加えることによって、低下した神経活動を活性化させ、痴呆症状の改善さらに痴呆のリハビリを目指した。認知症を持った人20名を被験者にし、脳神経により近い眉間(晴明穴)に微弱な電流を1回につき30分間、週3回、一ヵ月間行った。その結果、刺激群はコントロール群に比べ、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)及び短期記憶検査の得点が有意に上昇した。したがって、末梢神経への電気刺激が導入神経を通して記憶などの高次脳機能に関する中枢神経に伝達され、その活動を賦活したと推測された。