心の健康教育に関する理論と実践


  • 担当時期:2019年度~2023年度
  • 担当機関:東洋英和女学院大学大学院

 

心の健康教育に関する理論と実践(輪講)  半期(後期) 2単位 2年次

  • 英文科目名:Theory and Practice for Mental Health Education
  • 担当教員:長谷川 明弘、小坂 和子、角藤 比呂志、篠原 道夫、前川 美行、福田 周
  • テーマ・内 容
    • 健康教育とは健康へと導く行動の自発的適応を容易にするように計画された学習経験の組合せである(Green,L.W.,1980)。
    • 健康教育は、学校健康教育が出発点であったが、今日では、学校のみならず、家庭、職場、地域社会、医療施設など広範に渡っている。心の健康は、ともすれば、障害や疾病の有無といった面に注目してしまいがちであるが、多くの分野と領域で取り上げられる重要なテーマである。園田(1995)は、健康を病気や症状、異常の有無や程度ではなく、生命や生存を維持し、生活や人生を高めるという「コントロール」能力から取り上げることを提案している。健康(health)は、生活(life)や人生(life)と関連づけられる。日本語では、生活と人生だが英語ではlifeと同じ単語で表現され、またlifeは、生活や人生の他にも生命、生存、生物、世間、生涯という意味をも含んでおり、健康とも強く関連する(園田,1995)。
    • 本科目は、心の健康教育に関する理論と実践について、臨床心理学領域の教員の輪講によって、公認心理師に必要な知識及び技能を習得する。主に以下の具体的な場面を想定した役割演技 (ロールプレイング)を行い、事例検討で取り上げる
  • 到達目標
  1. ストレスと心身の疾病の関係について概説できる。
  2. 心の健康維持において必要な心理に関する支援について説明できる。
  3.  心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供ができる。
  4. 災害時等に必要な心理に関する支援について説明できる。
  •   授業時間外の学習(予習復習)
    • 事前に、各テーマについて、関連文献を読んでくること。
  • 成績評価の方法・基準
    • 担当教員ごとの試験(あるいはレポート)および授業への参加意欲度を基準にする。
  • 履修者への要望
    • 理論に関する講義だけで無く実習を交えた運営を行う。
    • 受講生は、積極的な参加態度で臨んで、受講者同士や教員との意見交換を前向きにかつ率直に行って欲しい。   
  • 履修条件(人数制限・抽選等)
    • 原則、配当年次学生が履修対象。
  • 教科書:各教員がその都度指示する。
  • 参考文献等:各教員がその都度指示する。
  • 参考URL
    • 健康日本21
    • 健康日本21-各論「休養・こころの健康づくり」
    • 特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム
    • 「食生活改善指導担当者研修テキスト」平成20年3月
    • (4) 健康教育 p133~181
    • 上記は、「特定保健指導の実践的指導実施者育成プログラムの開発に関する研究」(主任研究者:河野啓子、平成19年度厚生労働科学特別研究)によりとりまとめられた内容を元に作成された教材の一部である。
  • 備考
    • 臨床心理学領域の学生に限らず、近接領域の学生にも積極的な参加を期待する。
    • 人間科学研究科人間科学専攻臨床心理学領域 
  • 授業計画
    • 第1回:オリエンテーション・心の健康教育概説(担当:長谷川)
      • 心の健康教育がどのように展開してきたのかについて概説を行う。 
    • 第2回:ストレスマネジメントの理論の概説と実践およびディスカッション(担当:長谷川)
      • 理論:自己表現訓練を適用したストレスマネジメント(臨床動作法の場合がある)
      • 体験実習:集団活動の中で自己表現訓練(あるいは臨床動作法)を体験する
      • ふりかえりとディスカッション。教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。 
    • 3回:自己表現・感情把握の理論の概説と実践およびディスカッション(担当:長谷川)
      • 理論:「やみあは」ワークを適用した集団活動
      • 体験実習:「やみあは」ワークを体験する
      • ふりかえりとディスカッション。教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。
         ※「やみあは」ワークとは、第3回担当者が地域に出向いて高齢者を対象にして用いた集団活動プログラムの名称である。本プログラムは高齢者に限定しないで適用可能である。
    • 第4回:ストレスと心の健康についての概説と実践およびディスカッション(担当:角藤)
      • ストレス理論を踏まえ、生活習慣病とこころの健康、ライフサイクルと心の健康について、生物・心理・社会的な側面から、参加者全員で議論する。
      • 加えて、ストレス対処法について実践し、体験する。
      • 教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。
    • 第5回:ストレスと心身の不調についての概説と実践およびディスカッション(担当:角藤)
      • 第4回の議論を踏まえ、ストレス関連の様々な心身の不調について、こころの健康対策及び予防的側面から、参加者全員で討議する。
      • 加えて、ストレス対処法について実践し、体験する。
      • 教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。
    • 第6回:正常者の自己実現(担当:篠原)
      • 講義とディスカッション。教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。
  • 第7回:身体疾患と心の健康(担当:篠原)
    • 講義とディスカッション。教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。
  • 第8回:思春期学校臨床におけるこころの健康教育の理論と実践(1)(担当:小坂)
    • 理論:子どもの自尊心の育成を促進するために
    • 体験実習:描画ゲームによる表現法の実践
    • ふりかえりとディスカッション。教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。
  • 第9回:思春期学校臨床におけるこころの健康教育の理論と実践(2)(担当:小坂)
    • 理論:子どものコミュニケーションを支えるために
    • 体験実習:グループ形成のためのアイスブレーキング技法の実践
    • ふりかえりとディスカッション。教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。
  • 第10回:災害支援の理論の概説(担当:福田)
    • 災害時における心理支援の理論の概説およびディスカッション。
    • 教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。 
  • 第11回:災害支援における心理支援の実践方法(担当:福田)
    • 災害支援における心理支援の実践方法として『ファーストエイド』を取りあげ、ディスカッションを行う。
    • 教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。 
  • 第12回:傾聴と共感の理論の概説とディスカッション(担当:前川)
    • 人の心に寄り添うあり方とはどのようなものか、理論をもとに解説し、職場や生活における心理支援を考える。
    • 教員や受講者間での相互ディスカッションを行う。 
  • 第13回:傾聴と共感の理論の実践とディスカッション(担当:前川)
    • 「死にたい」と苦しむ心に寄り添うこと、ゲートキーパーとしての心理支援を考える。
    • 教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。
  • 第14回:総論・まとめ・振り返りⅠ(担当:長谷川)
    • 「心の健康教育」に関する理論と実践を振り返り、受講者の希望によって実習を交えて運営する。
    • 教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。 
  • 第15回 :総論・まとめ・振り返りⅡ(担当:長谷川)
    • 「心の健康教育」に関する理論と実践を振り返り、受講者の希望によって実習を交えて運営する。
    • 教員を交えて受講者間での相互ディスカッションを行う。